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月詠み

2nd mini Album「月が満ちる」
2022.08.17 Release

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Introduction

2021年9月にリリースした「欠けた心象、世のよすが」の続編となる、今作「月が満ちる」で物語は遂に完結を迎える。
ユリイ・カノンの代表曲『だれかの心臓になれたなら』と同名の小説を元に、
ユマとリノ、二人の音楽家の物語を描いてきた、月詠みの1st Story。

ユマに憧れを抱きながら音楽の道を歩み始めた”リノ”の目線で語られた1st「欠けた心象、世のよすが」、
道なかばでその命を失いながらも、いつまでもリノの心の中に存在し続ける”ユマ”の目線で語られる「月が満ちる」。
物語は果たしてどんな結末を迎えるのだろうか。

完全生産限定盤には前作「心象録」の続編となる、「廻想録」が同梱される。
二つの物語を読んだ時、「だれかの心臓になれたなら」の全てを知ることになる。

News

Release Info

2nd mini Album「月が満ちる」

2022.8.17 Release

    • 完全生産限定盤(CD+ブックレット「廻想録」+栞+コード譜「生きるよすが」)

      • 「月が満ちる」完全生産限定盤
      • NZS-894 / ¥3,300(税込)

      • Buy
    • 通常盤(CD)

      • 「月が満ちる」通常盤
      • NCS-3008 / ¥2,200(税込)

      • Buy
  • Track List
    1. 廻想

    2. 生きるよすが

    3. ヨダカ

    4. 醜悪

    5. 暮れに茜、芥と花束

    6. メデ

    7. アメイセンソウ

    8. 白夜

    9. 月が満ちる

店舗別オリジナル特典

2022年8月17日(水)発売の『月が満ちる』を対象店舗にてご予約・ご購入の方に先着でオリジナルグッズをプレゼント。

  • 特典には数に限りがあります。

  • タワーレコード全国各店
    / タワーレコード オンライン

    オリジナルCD

    01. 生きるよすが / 02. メデ / 03. 月が満ちる

    • メンバーによるオリジナルリアレンジバージョン

  • アニメイト全国各店
    / アニメイト オンライン

    オリジナルCD

    01. ヨダカ / 02. アメイセイソウ / 03. 月が満ちる

    • メンバーによるオリジナルリアレンジバージョン

  • Amazon

    月詠み ノート 第二篇

  • HMV全国各店 / HMVオンライン

    月詠み クリアファイル No.03

  • ヴィレジバンガード全国各店
    / ヴィレンジバンガード オンライン

    月詠み クリアファイル No.04

  • 楽天ブックス

    『月が満ちる』缶バッジ

  • TSUTAYA

    『欠けた心象、世のよすが』缶バッジ

About 月詠み

ユリイ・カノンが主催・プロデュースし「物語」と「音楽」を展開するプロジェクト。

月詠み最初の物語は、ユリイ・カノンによるVOCALOID楽曲
「或いはテトラの片隅で」や「だれかの心臓になれたなら」等で描かれてきた
”ユマ”と”リノ”、二人の少女、二人の音楽家を主軸とした物語をベースに再構築したもの。

物語、楽曲、歌詞のそれぞれの紐付きを考察することにより、より深く月詠みの世界を体感することができる。

リノの視点で描かれた「欠けた心象、世のよすが」、

ユマの視点で描かれた「月が満ちる」、

この2つの作品が揃うことで、月詠み“最初の物語”の全てを味わうことができる。

Story

『だれかの心臓になれたなら』

ユマとリノ、2人の少女、2人の音楽家の物語。

ある日亡くなったはずのユマから届いた1通の手紙。
真相を確かめる為、過去との決着をつける為、リノは数年振りに故郷へと帰る。
そこにあった死の理由、残されたものとは──

試し読み
  • ユマ
    ユマ
  • リノ
    リノ

Story Movie

  • 追懐録
  • 廻想録:I “if”
  • 廻想録:II “world”
  • 廻想録:III “moon”

Music Movie

Episode1 リノ
  • 1st Song 『こんな命がなければ』
  • 2nd Song 『ネクロポリス』
  • 3rd Song 『新世界から』
  • 4th Song 『真昼の月明かり』
  • 5th Song 『絶対零度』
Episode2 ユマ
  • 1st Song 『生きるよすが』
  • 2nd Song 『メデ』
  • 3rd Song 『ヨダカ』
  • 4th Song 『アメイセンソウ』
  • 5th Song 『白夜』
Epilogue
  • Epilogue Song『月が満ちる』

Interview

月詠み『月が満ちる』
オフィシャルインタビュー

ユマとリノ、2人の少女、2人の音楽家の物語。
それが月詠みが最初に描く1st Story「だれかの心臓になれたなら」。

ある日亡くなったはずのユマから届いた1通の手紙。
真相を確かめる為、過去との決着をつける為、リノは数年振りに故郷へと帰る。
そこにあった死の理由、残されたものとは──

リノの目線で語られる1st mini Album『欠けた心象、世のよすが』、そしてユマの目線から描かれる2nd mini Album『月が満ちる』。

それぞれの初回限定盤には「心象録」「廻想録」と名付けられた小説が同梱されている。
より深く楽曲へ入り込むことができるだけではなく、物語としても完成されている。
この2作品が揃うことで、初めて物語の全容が見えてくる仕掛けだ。

物語の完結を描く今作『月が満ちる』の1曲1曲に込められた想いをユリイ・カノンに語ってもらった。
そこから見えてくる物語を深く味わってほしい。

一曲ごとにお話を伺っていきます。まず、1曲目の「廻想」。リノの視点を軸に構成された前作『欠けた心象、世のよすが』と同じようにインストから始まりますが、どのようなイメージで作ったんですか?

ユリイ・カノン : オープニングは綺麗なものから始めたくて。ユマは、亡くなってしまう人間ではあるんですけど、音楽を始めた頃からはずっと人生に希望を持っていたので、そこの美しさを出しました。

前作『欠けた心象、世のよすが』はリノの視点を軸に、今作『月が満ちる』は、ユマの視点を軸に構成されています。物語が始まる最初の頃のユマの心境を描いたのが、この「廻想」なんですね。

ユリイ・カノン : 主にユマの中の高揚感を意識しました。前作のインストの「欠けた心象」は、綺麗な中になんとなく鬱屈したものがあって。

それは、リノの鬱屈した感情に結びついている?

ユリイ・カノン : そうですね。

1曲目から前作と対になっているんですね。2曲目の「生きるよすが」は、ユマが百貨店の前の小さな広場で弾き語っている光景が脳裏に浮かぶ曲。今作の中でも重要な位置を占めています。

ユリイ・カノン : リノが偶然路上ライブをしているユマに遭遇して、そのときに歌っていた曲が、リノにとっての音楽を始める大きなきっかけになる。そこには、人の人生を動かすほどのパワーを持った楽曲が必要だなと思っていました。ただ希望めいた言葉を並べているわけじゃなくて、挫折だったり、苦悩の先に、それでも、という希望を見つける楽曲だからこそ、リノに響いたのではないかなと思います。

それから、前作の小説『心象録』の中で登場人物として出てきたひとりの音楽ライターの男性も、ユマの歌う「生きるよすが」に感動していましたね。

ユリイ:実はその音楽ライターが見ていたのは、ユマではなくてリノの方で。リノが音楽ライターに見つかったことが、リノの歌が広まるきっかけの一つになったんです。だから、ストーリー的に成功していくのはリノの方だったわけで。実際、二人は同じぐらいの実力なのに、お互いがお互いを自分よりずっと優れていると思って劣等感を抱いていく。実力的には変わらないけど、ちょっとした違いで売れたり、逆に人に見つけてもらうことができなかったりすることってありますよね。

たしかに。運があるかないかでその後の人生が大きく変わっていきます。ちなみに、「生きるよすが」はどう作っていったんでしょうか。

ユリイ・カノン : 「生きるよすが」のポジションとなる曲としては、いろんな候補がありました。その中でも単純に自分が気に入ったものをそのポジションの曲にしただけなんです。先に世に出ていたリノの1作目の楽曲「こんな命がなければ」は、実は今回のユマの1作目の楽曲「生きるよすが」のBPM、サビのコード進行と同じ作りになっていて。よりリノが影響を受けた元になる楽曲として表現するために、「生きるよすが」がいいのかなと。

3曲目の「ヨダカ」はユマが出会った小説家を志す少年の東堂君視点の楽曲なのかなと思いました。

ユリイ・カノン : ユマは、東堂君と出会うことをきっかけに、一度挫折して辞めてしまった音楽をまた始めようという気持ちに変わっていく。再び前に進んでいくことを決意する。その中で一番最初に作った楽曲がこの「ヨダカ」なんです。東堂君との出会い、‟売れないものに価値はないのか”という東堂君の考えが歌詞の中に反映されています。

サビはとくに解放感があって。

ユリイ・カノン : それまではネガティブな考えだったのを、いい意味で裏切るように、サビの直前ですべて否定する。希望を見出して期待している点で、「生きるよすが」と同じですね。

ユマの生きることに対する期待が描かれているんですね。4曲目の「醜悪」は、<「どれも儚くて素晴らしい」なんて 嘘だって知っている>から東堂君を感じたんですが、この曲が意味しているのはなんですか?

ユリイ・カノン : まだ、連載の小説ではそこを詳しく描けていないんですけど、ユマは東堂君とあることがきっかけで疎遠になってしまうんです。それに対してユマは大人になっていくにつれて、東堂君に何かできたんじゃないかという後悔だったり、葛藤だったり、世界の不条理さだったりを感じていく。

東堂君と疎遠になる話は、これから描かれていくんですね。

ユリイ・カノン : そうですね。ユマにとってはリノ、リノにとってはユマが自分自身に強く影響を与えた人間。ユマには、音楽を始めるきっかけだったり、人生観にいろんな影響を与えた人物として東堂君という人物がいて。この曲では、ユマがリノと出会うまでにどう生きてきて、こういう考えを持つのに至ったのかを掘り下げています。

5曲目の「暮れに茜、芥と花束」。リノの巡る思考を歌った曲でしょうか。

ユリイ・カノン : リノはユマに出会う前まで、自分の人生に期待しているわけでもなく、なんとなく空っぽな感じで生きてきたんです。ちょっと斜に構えていた部分があったり。そんなリノの考え方をこの曲で描いていますね。

『心象録』の中の12ページに<自分自身を満たせるものは何もなかった。この両手には何もなかった。>とリノのそのような感情が描かれていたと思うんですが、それにも通じる?

ユリイ・カノン : はい。真面目に生きるのが果たして正しいのかとかいろんなことを考えながらも、結局自分の生きる意味をとくに見つけることができない。そういう人生を送っていて、最後の最後で、ユマと出会う。そういう曲です。

曲名に込められた意味も気になります。

ユリイ・カノン : 例えば、沈んでいく暮れに対して、美しい茜。ゴミの芥に対して美しい花束のように、リノの人生とユマの人生。醜いもの、暗いものと、明るいもの。対照的で一方が救いになる表現というか。

そういう意味なんですね。6曲目の「メデ」はMVでユマらしき少女が登場しますね。

ユリイ・カノン : この曲は、ユマが音楽を始めてから、結構経った頃に陥ったスランプを表現しています。だから、全然、ユマが作ってきた曲と違う色になっていて。自分は何を作ったらいいんだろう。そういう気持ちがこの曲に反映されているんです。

「生きるよすが」とはまた印象が異なりますもんね。

ユリイ・カノン : 歌詞の中では自分を見つけてほしいと言っているけど、実際は評価をされることが怖い。MVでは、そんなユマの葛藤をユマを振り回す眼で表現しました。

<メデ>という言葉が<眼>とか<雨>とか色々なものにかかっています。

ユリイ・カノン : ユマはずっと葛藤しているんですけど、「メデ」がとくに、ぐちゃぐちゃになっているとき。ほかの曲とは違う歌詞の乗せ方をすることで、ユマの乱れた心情を描いています。MVもぐちゃぐちゃしているのは、同じ意味です。

7曲目の「アメイセンソウ」。ユマが、東堂君を思う切ない気持ちが綴られている印象ですが、どうでしょう。

ユリイ・カノン : これは、2つあって。ユマは、それまで中学生の頃からずっと音楽をやっていて、自分の才能を一応信じていたんです。でも、リノという自分を越える存在に出会ってしまって、落ち込むようになる。一方で、親友と巡り合えて嬉しい気持ちもあって。二人の出会いのきっかけは、ユマがリノに傘を差し出したこと。ストーリーの中でも重要になってくるんです。その傘を、ユマは今度は自分を隠すものとして使っていて。その傘をくれたのは東堂君。ユマは、東堂君のことでもいろいろと思うところがあって、それぞれに対して悩んでいるという。

歌詞にある<傘を差し隠した>についてもう少しお聞きしたいんですが。

ユリイ・カノン : 雨というのは、実際の雨でもあるんですけど、悲しみの表現としての雨だったり、心情的な涙でもあります。ただ、傘で雨を防ぐんじゃなくて、隠している。

涙の雨を?

ユリイ・カノン : そうそう。

「メデ」とはまた違った苦しみですね。

ユリイ・カノン : 今回のストーリーの中で、ユマが希望を持っているときのピークを描いたのが、「ヨダカ」。そのあとは、暗めな曲が続いているので、だんだん、ユマが精神的に追い込まれていくのがわかると思います。

ユマの感情が時系列順に並んでいると。

ユリイ・カノン : まず、ユマとリノの出会いとして「生きるよすが」から始まって、ユマの始まりの曲「ヨダカ」へ。そこから、徐々に終わりに向かっていく。

8曲目の「白夜」は、ユマが聴覚を失ってからの苦悩が描かれた曲です。

ユリイ・カノン : もともと、自分の生きる理由になっていた音楽が、物理的に叶えられないものになった。ユマにとっては、生きる理由が音楽になってしまっていたからこそ、生きる理由が形を変えて。

逆の方向へ。

ユリイ・カノン : はい。

今作の小説『廻想録』の60ページに書かれているように、同じ学校の女の子が亡くなったとユマが聞いた時点では、その女の子が死を選んだ理由を理解できていなかった。

ユリイ・カノン : エピローグとしてそこには、ユマとリノが出会っていない時点のお話を入れたんです。二人が出会っていなければ、リノが亡くなって、出会っていれば、ユマが亡くなる。そんなどうしようもなさを描きたくて。

なるほど。

ユリイ・カノン : ユマは、もう実際には歌えるような状態ではないんです。この曲は、ユマが描いたものではなくて、ユマ自身を俯瞰で見ている楽曲です。ただ、死ぬことに対して別に完全な絶望を覚えているわけではない。小説でも、自分の音楽を受け継いだリノが歌い続けてくれるなら、それはそれで人生に意味があったと思えると書いていて。

<生きた意味はあると言える>という歌詞の最後のところ?

ユリイ・カノン : そう。そこから<君が唄えば>と続いていく。ここで初めて、この世界に本当に必要なのは、自分じゃなくてリノなんだとユマは知ることになるんです。夜の月に例えて、<夜の月が尊いと思うのは その光が唯ひとつしかないからでしょう>と。月は2つもいらないという考えです。

ここでユマは死を決意する。

ユリイ・カノン : 絶望と言えば、絶望なんです。でも、生きてきた意味もちゃんと見出している。

9曲目の「月が満ちる」が今作を締めくくる曲です。この曲は、リノの視点ですか?

ユリイ・カノン : <君はいつだって僕を照らす 欠けない月だ>のくだりまでは、基本、リノの心情になっていますけど、「生きるよすが」でも似た表現がある<夢も愛もお金も明日も 何も要らない>からはユマの視点で描いています。心の拠り所だった親友のユマが亡くなっても、リノは音楽を続けていく。音楽を続けていくほどに、どんどん気持ちは辛くなっていくんです。そこで、ユマの言葉を思い出して、そういう気持ちを形にしていくことで、ユマが目指していた創作におけるいい作品を作ることに、希望を見出しているというか。

曲の中にいろんな曲のフレーズが出てくるじゃないですか。歌詞の作りとして、ユマとリノが意図的に昔の曲を取り入れているところもあるんですか?

ユリイ・カノン : そうですね。総まとめとしての曲というポジションをより明確にしたかったので。どちらの曲でもないからこそ、出てくるフレーズがあって。

そして、今作の収録曲ではないですが、ユマが残した未完成の曲「だれかの心臓になれたなら」が、物語の最後に入ってくる。

ユリイ・カノン : お話の流れとしては、そうですね。

リノによる<僕も、だれかの心臓になれたなら(「だれかの心臓になれたなら」)>という希望のある歌詞につながっているんですね。

ユリイ・カノン : そうですね。自分が生きることで、誰かの救いになりたいと。「月が満ちる」の最後のフレーズが、<言葉よりも透明なもの 想いよりもっと響くもの 形にしようと書いたのも まだ生きていようと思えばこそ>となっていて。ユマがリノに思わせてくれたように、悲しいことも含めてすべてのことが誰かの救いになる、とリノは考えるようになっていくんです。

先ほど一度話に出た『廻想録』のエピローグも意味深長でした。すでに次の作品の構想はあるんでしょうか。

ユリイ・カノン : ボカロの作品と月詠みの作品はストーリーが違うんですけど、エピローグでは少しの違いでいろんな結末が生まれるよね、ということを表しました。あのエピローグから、次のストーリーにつながっています。

本当に月詠みの作品は、いろんな聴き方ができますね。最後に、月詠みと命名した理由を聞いてもいいですか。

ユリイ・カノン : 暗い中にある光だったり、真昼では見えない月だったり、たしかに存在していて、わかる人にはわかるみたいなのを表しているのが作品の中での月なんです。ユマ、リノが、それぞれに例えた月を詠んでいるという。どの楽曲にも共通してある絶望や暗い世界の中で見つけた月を詠っています。

文/小町碧音

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1st mini Album「欠けた心象、世のよすが」

    • 完全生産限定盤(CD+ブックレット「心象録」+栞+コード譜「真昼の月明かり」)

      • 「欠けた心象、世のよすが」完全生産限定盤
      • NZS-853 / ¥3,300(税込)

    • 通常盤(CD)

      • 「欠けた心象、世のよすが」通常盤
      • NCS-985 / ¥2,200(税込)

  • Track List
    1. 欠けた心象

    2. 真昼の月明かり

    3. カルミア

    4. 絶対零度

    5. ネクロポリス

    6. 新世界から

    7. 夜に藍

    8. こんな命がなければ